取得したGPSログの活用: カシミール3Dによる表示と編集
カシミール3Dというのは、フリーの地図・地形図ソフトである。上記の画像はこのソフトで作成した。
このソフトの主なターゲットは山歩き用の立体表示と思われるが、GPSデータの操作機能も豊富であり、さまざまな2次元表示も可能である。非常に多機能なソフトであるが、ここではGPSログの活用目的に限定して紹介する。
なお、本項目を書くにあたっては毎日がエブリデイを大いに参考にさせていただいた。驚異的な量の軌跡が公開されている。
カシミール3Dのインストール
カシミール3Dのページから、以下のものをダウンロードして順にインストールする。
- カシミール3D おまかせセット(私はVer 8.6.9を使用)
- スペースシャトル地図プラグイン (Ver.1.2.0)
- NMEA/IPSファイル インポートプラグイン (Ver 1.3.3)
- SRTM-30 (スペースシャトルにより測定された全世界の地形データ)
Kashmir 3Dのサイトより必要な範囲の.xemファイルを選ぶ。特にインストールする必要はないので、ダウンロードしたら適当なディレクトリに置く。 - カシミール3Dを起動して、SRTM-30の.xemファイルのうちどれか1つをカシミール3Dにドラッグ・アンド・ドロップすれば地形図が表示される。
なお、スペースシャトル地図にはより詳細なSRTM-1というデータもある。
- USGSのサイトから(ftp://e0srp01u.ecs.nasa.gov)
/srtm/version1/United_States_1arcsec/1arcsec
SRTM-1は、カバー範囲がアメリカ国内のみであること、データサイズが大きすぎることから、広い範囲を見るのには適さない。
アメリカの州境を描画する
アメリカの州境が必要ない場合はこの項目はスキップしてよい。
- Kashmir 3DのGISツールプラグイン(Ver.0.4.0)をインストール
- tiger/line state borderで検索して見つけたstate borderデータをダウンロード
http://www.npms.rspa.dot.gov/data/data_base.htm
ArcView Exportを選択する(e00と呼ばれる形式。40MBとサイズが大きいことに注意)。ZIPファイルを適当な場所に展開しておく。なお、Tiger/Lineはアメリカの州別GISデータ。 - カシミール3Dを起動して、「ファイル」「開く」「GISツール」「ArcInfo Exportファイル」を選択。
- 展開したe00ファイルを指定すると読み込まれる。サイズが大きいので10分〜20分ほどかかるが、再起動時にはデータデポから読むのでそれほど遅くはない(10秒程度)。
海岸線まで含まれることと、詳細すぎる(そのために速度が犠牲になる)ことが若干気になるが、とりあえずの用には十分。
……としばらくは思っていたが、カシミール3Dを起動するたびに待たされることに耐えられなくなり、データを間引くことにした。
GPSログをインポートする
- カシミール3DのNMEAインポートプラグインは、デフォルトの測位系がTokyo(日本測位系)になってしまう。GPSlim236はWGS84なので、インポートしてから手動で変更しても良いが面倒なので、NMEAファイルの先頭に下記の1行を追加する。筆者はcygwinでcatコマンドを使用している。
$PGRMM,WGS 84*06
- GPSログの拡張子を.nmeまたは.nmeaに変更する。このときに筆者は、1日分のログを1ファイルに連結している(cygwinでcatを使用)。
- カシミール3Dで「ツール」「NMEA/IPSファイルの読み込み」を選択。インポートしたい.nmeファイルを選択する。
- 「インポートするデータを次の量まで間引く」というダイアログが出てくるので1%を指定。「開始」をクリック。100%でインポートするとトラックポイントが簡単に数万を越えてしまい、実用的な速さで動作しなくなる。
- 「編集」「GPSデータ編集」でGPSデータを確認する。「トラック」に読み込まれている。1つのファイルでも、適宜分割されたトラックとなる場合がある。トラック名をダブルクリックすると、トラックデータの編集用グラフが表示される。
- 先頭のポイントの日付が正しくない場合は修正するか削除(NMEA0183では一部のセンテンスにしか日付情報がないため、こうなる場合がある)。
- 横軸と縦軸を適宜変えながら、異常点を探し削除するか修正。筆者は標高と速度を使って異常点を探すことが多い。
地図画像出力の方法
- 「表示」「パレットの選択」と「表示」「表示の設定」「地形表現」の組合せで表示色が設定できる。筆者は毎日がエブリデイにならって、パレットを「石膏の色分け(レリーフ専用)」にしている。地形表現は「レリーフ1(地図帳風)」に設定している。
- 画面右のパネルから「GISツール」でstate borderの色が変更できる。デフォルトの黄色は灰色の地図に合わないので濃紺系の色にしている。
- ズーム/縮尺パネルなどで、ズームを0.25倍に設定。
- 地図を右クリックして「地図表示」「縮小」を選択。適当な範囲を指定して左クリックすると、さらに縮小された表示(おそらく1/8倍)になる。なお、これ以外の方法では0.25倍未満のズーム倍率は指定できない(Ver.8.6.9で確認)。
- 「編集」「選択範囲を緯度経度で指定する」で、左上を緯度50・経度-125(マイナスは西経)、右下を緯度24・経度-66とする。これでアメリカ本土の全域が入る。
- 「ファイル」「表示画像を保存」「選択範囲を保存」でファイル名を指定するとBMP形式で保存される。1/8倍で表示している場合は900x500pixelぐらいである。
- 適当な画像編集ツールでjpgにでも変換する。